記録を読まない判断権者(ADR) |古田法律事務所

事務所通信

ADR(裁判外紛争解決手続)の正当性は,訴訟手続と同様の(少なくともそれに準じた)適切な事実認定及び評価があって初めて担保されるものです。

その前提として,まず,当事者が何を主張,立証しているのかを「理解」すること,さらにその前提として,記録を「確認」することは,最低限必要です。

ですが,残念ながら,そのような「確認」,「理解」すら十分でないままに,結論が決定されてしまうこともあります。

今回,あるADRの手続で,判断権者が記録を(少なくとも十分に)読んでおらず,そのため記録を確認すれば容易に確定できる事項について把握しておらず,果ては当方と相手方のいずれに関する事情であるかを取り違えて話を進める,ということがありました。手続内で何度も該当箇所を指摘しましたが,最後まで話がかみ合わずに終わりました。

それにもかかわらず,判断権者の私に対する評価は,恐らく,「細かいことをグチグチいう『話の分からないやつ』」というものになっていると思われます。

実は,過去の経験上,今回も同じ事態になる可能性を相当程度予想はしていたのですが,今回は特に事実関係がシンプルな事案であっただけに,「確認」,「理解」されていないことが本当に残念でした。

つくづく,このADRは,私には鬼門だなあと思いました。

(古田宜行)

 

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