民事訴訟の愚痴2(ノンコミットメントルール) |古田法律事務所

事務所通信

2021年11月5日の事務所通信で報告した事例の続きです。

その後,私の準備書面で,要旨「相手方と裁判所がノンコミットメントルールを蔑ろにするので,口頭の議論には一切応じません」と付記した。
すると,相手方にまたも準備書面で噛みつかれてしまいました。

いわく,
・ノンコミットメントルールについては「知らなかった」
・(弁論準備手続調書に記載されていない事項について相手方の「認識」を記述したうえで)「誤りや補充すべき点があると考えるのであれば,指摘されたい」
・準備書面の記載について裁判所が「当事者に削除を求められるのか,その法的根拠も……理解できない」
・相手方の「主張ないし応訴態度が不当というのであれば,自らも準備書面で……論難すれば良い」
・「裁判所の訴訟指揮等に問題があるというのであれば,異議を述べることもできたはずである(150条)」
・「民訴法の無理解も甚だしい倒錯と言わなければならない」
だそうです。

裁判所が準備書面の陳述制限をする法的根拠は,民訴法148条です(150条の隣の隣の条文なので,もう少し探せば見つかるのに)。
また,民訴法148条は裁判所の職権行使であり,私が相手方準備書面の陳述制限を求めたのは職権発動の促しです。
これに対する職権不発動が民訴法150条の異議の対象にならないことは,文言上明らかです。

ルールについては,さっと検索しても判タ1405号,1447号くらいは出てきますが,原文にあたられていないのでしょう。
そして,「指摘されたい」,「論難すれば良い」とは,まさにそのような事態を防ぐためにこそ,ルールが存在しているのですが…。

「民訴法の無理解も甚だしい倒錯」に陥っていることが明らかなのであまり相手にしないようにしますが,要は,「殴って何が悪い。ルールは知らない。殴り返してこい」ということですからね…。「びっくり」です。

 

(参考)

東京地判平成12年11月29日

弁論準備手続における当事者の発言について,弁論準備手続調書に記載を求めることなく,後日,報告書のような形で云々することははなはだ不適切なものであって,本来は証拠適格を欠くものとして却下すべきものと考える。その理由は,第一に,民事訴訟法は,弁論準備手続において当事者及び裁判所が自由闊達な議論を行い,その法律的主張の当否や証拠の意味合い等について種々の角度から吟味しあい,主張・証拠(争点)を整理し,事案の理解を深めつつ,充実した審理を進めることを目的としているところ,右のような訴訟活動は,当事者間の片言隻語に基づき,揚げ足をとる類いのものであって,不公正であるばかりか,弁論準備手続の本来の目的を達することができなくなるおそれがあるものである。すなわち,裁判所は,弁論準備手続期日において,訴訟代理人及び当事者に対し,さまざまな質問をし,あるいは一定の立場から他の立場の言い分を検討するなどし,そのやり取りを通じて関係者はいずれも事案に対する理解を深めていくことになるが,一回の期日はその限定された一コマであって,中途段階のやり取りにすぎない。また,裁判所が,同期日において,和解の気運を探ることもあるが,これまた中途段階での調整の一コマにすぎないのである。右のような訴訟活動は,これらを逐一意味のあるものの如く取り上げるものであって,それ自体不相当であることは,経験ある法律事務家にとっては多言を要しないところである。第二に,必要であれば弁論準備手続調書に記載を求めるべき事柄を後日正確性の担保されない私製の報告書に記載し,外形上その事実が存したかのように作出する点において訴訟当事者間の訴訟法上の信義則にも悖るものである。第三に,相手方にもその対応を余儀なくさせ,無用の負担を強いるのみならず,紛争を一層深刻にし,拡大する契機となりかねないものである」

(古田宜行)

 

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