6月13日記事の「更正」決定に対し,即時抗告を申し立て(5月27日申立て,6月12日補充),7月12日,棄却決定を受けた(東京地裁令和元年(ソ)第192号)。同棄却決定は,「更正」の是非について,ただの一字も触れていなかった。
そこで,高等裁判所に対する再抗告を申し立てた(7月19日)。
同申立てもあえなく棄却された(東京高裁令和元年(ラ)第1624号)が,同棄却決定は,「第1審の移送決定は,表現が適切ではない点はあるものの……更正決定は正当である」と判示した。
さすがに,原々決定が,民訴法第18条に基づき名古屋簡易裁判所への移送をする旨を決定しながら,苦し紛れの更正決定で民訴法第17条に根拠条文を変更した結果,決定文上同条の要件該当性について何ら判断していない事態が憚られたのか,「表現が適切ではない点はある」というお茶を濁した表現で認めざるを得なかったのだと理解しておく(更正決定はまさに「表現」の誤りを更正するものであるから,「表現が適切ではない」という表現は,表現の誤りを更正するのは当然正当,という判示とは異なると理解した。)。
原々審の岸野明人裁判官(東京簡易裁判所民事第3室)御本人は,およそ「表現」を誤ったのではなく,まさしく理解自体を誤っていたのだろうになあと,歯がゆい気持ちはあるが,提訴から約半年を経て始まる本訴で,被告が移送の必要性のために主張した「現場の検証」や,原々決定が移送の理由とした「実況見分を実施した警察官の証人尋問」が実現するのか,というか,そもそも被告側が請求するのか,楽しみである。
なお,再抗告に際して,刑事裁判の勢いで「特別抗告」としてしまい,訂正申立ての恥をさらしたことは,「更正」の是非を問う申立てにおいて,痛恨のミスであった。
(古田宜行)