2020年10月2日に掲載していたこちらの件。
2022年2月15日に控訴審の判決言渡しがありました。
結論(主文)は,相手方(県)の控訴を棄却し,当方の附帯控訴を一部認容するものでした(請求認容金額を20万円から35万円に増額)。
損害金額(慰謝料)の内訳は,①英語禁止告知について5万円,②抗議前確認について5万円,③破棄要請について5万円,④抗議後確認×2について10万円×2でした。
①については,1審判決において,違法性があるものの原告が私(弁護人)であるから接見交通権の侵害までは認められないとした点をさらに(正しい方向に)進めた内容でした。
県は,控訴審においても刑事収容施設法の解釈上被疑者ノートも無限定に検査の対象になるという主張をしていました。
これに対し,判決は,大要,
・同法212条の解釈にあたっては憲法34条の保障に由来する刑訴法39条1項の趣旨を損なうことがないように十分に配慮する必要があり,被疑者ノートがその性質上他の所持品とは同列には論じられないから同条を制限的に解釈することは文理に反しない
・被疑者ノートを留置施設の内と外とで発受される信書(刑事収容施設法222条1項)になぞらえることが適当とは言い難く,むしろ同条3項1号の弁護人等から受ける信書と見るべきであるから,検査を制限的に解することは同条と整合する
と判示しました。
憲法及び刑訴法の規定から刑事収容施設法の規定を限定的に解釈するという判断手法については,いわば原理主義的に「被疑者ノートは絶対見ちゃダメ」と言ってくれればもっとスッキリするのになあというところですが,現実的なところとしては,「とても良い」判決だと思います。・・・立会国賠でも,同じ裁判体に審理してもらいたかった。
とはいえ,上告されるんでしょう,きっと。
(古田宜行)
(3月4日追記)
3月3日付確定とのこと。