思いがけない勾留期間の短縮 |古田・天白法律事務所

事務所通信

先日,2件連続して,思いがけないかたちで勾留期間が短縮された。

1件は,罪名窃盗(個人方からやや多額の現金を窃取),共犯事件,否認(黙秘)であり,勾留決定に対する準抗告(棄却),勾留取消請求(却下)を経てなされた延長決定が,10日間ではなく5日間であった。
もう1件は,罪名器物損壊(公共物の損壊),単独事件,自白であり,勾留延長決定に対する準抗告(棄却),勾留取消請求(却下)を経て,検察官の勾留延長請求が却下された。

両事件とも,(当否はともかく)裁判所が10日間の勾留延長決定を下すとの予想に基づき「準抗告勝負」と考えていたことから,いい意味で裏切られた結果であった。
他方で,「準抗告勝負」と考えていたことから,裁判所に対し,延長請求を却下するべきである,という意見書の提出はしていなかった。

もちろん,両事件ともそれまでの準抗告や取消請求で述べるべきことは述べていたし,器物損壊事件ではさらに延長請求当日検察官に「被害弁償のために先方と接触したが,先方の都合で日数がかかるので『示談待ち』の延長はやめるように。」との書面(疎明資料付き)を送っており,これらは,延長請求を受けた裁判所が判断をするにあたっての一件記録に含まれていたと察せられるところであるが,裁判所がこれらをきちんと確認して,延長請求について慎重に検討してくれるとは,全く思っていなかった。そうであるからこそ,「どうせ延長されるだろうから準抗告勝負」という勝手な見込みのもとに,裁判所に対し,延長請求を却下すべきとの意見書の提出を怠ってしまった。

刑事弁護の分野に限らず,「難しいから諦める」,「通らなさそうだからやめておく」という選択肢は自分の中にはないと思っていたが,「弁護人が意見書を提出しなかったのに却下(短縮)された」という事態は,まさに「通らなさそうだからやめておく」を裁判所に救われた格好であり,猛省するべきことであった。

なお,その後,窃盗事件については勾留決定から12日目の時点で全ての取調べが終了した(と警察官から宣言された)ことから,再度の勾留取消請求をした。事案の性質,すなわち,多額の窃盗・共犯・否認という事案の性質からして,通常,5日間の延長に限定されることは考え難く,内心では検察官も裁判所も「不起訴が確定している」と思われたからである。
しかし,勾留取消請求は却下され,結局,依頼者は,3日間無為に過ごし,15日目に,おそらくは当初からの予定通り,不起訴処分となり,釈放された。

(古田宜行)

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